一人暮らしの危険。三畳部屋の恐ろしい出来事(心霊ではありません)
三畳部屋アパートに住んでいるときの、恐ろしい出来事を書きます(心霊ではありません)。
今はなきこの木造ボロアパートの奥に、50がらみのおじさんが住んでいました。
もちろん、私と同じ一人暮らしです。
このおじさん、たまに玄関や階段で鉢合わせたりするのですが、町工場で働いているかのような労働者風の身なりで、足が悪いのか、いつも足を引きずってゆっくり歩いていました。
アパートの狭い玄関で入る順番を待っているときなど、テキパキ動けないことを誤って「すみませんね、すみませんね」といつも言っていました。別にそのくらい迷惑でもなんでもないのですが、おじさん本人はとても気にしていたようです。
ある日、アパートの玄関に、部屋で使っていたかのような家具が並んでいました。
まるで部屋から出してトラックに積む前、という感じです。
てっきり誰か引っ越すのかと思いましたが、もしそうなら、私・恭介以外にはおじさんと、もう一人若い男だけだったので、そのどちらかになります。
しかし、それは引越しではなかったのです。
当時三畳の部屋には当然ながら風呂などないので、近所の銭湯に通っていました。
風呂屋には番台におじさんかおばさんがいて、牛乳を飲む客と話している、などという、とても昭和な風景が残っていたのです。
私も番台のおじさんに顔を知られていて、だいたどこに住んでいるかも覚えられていました。
さて、玄関に家具が並んでいた日の夕方に銭湯に行くと、おじさんが私に「おたくのとこのアパートの人、これだってね」と、手で「切腹するアクション」をしました。
え・・・?
これ?(切腹するアクション)
おじさん「うん、なんか足が悪かったんだよね。お酒もかなり飲んでたみたい。理由はわからないけど自殺したらしいよ」
え・・・!
そうか、玄関の家具は、奥に住むおじさんが亡くなって、親族か誰かが部屋の片付けをしていたのか!
なにやらぞっと寒気がして、アパートに帰ることが怖くなりました。
アパートに帰ると、奥のおじさんの部屋は戸が閉まっていて、人がいるのかいないのかわかりません。
薄暗い廊下の奥のその部屋を通らなければ共同トイレに行けないので、私はしばらくの間近所の公園で用を足していました。
だって、怖かったんです。
体が悪かったのか意識が衰えたのかわかりませんが、そのおじさんにとって何か耐えられないことがあったのかもしれません。
昨今では、若年性認知症も取りざたされているので、その関係だった可能性もゼロではありません。
そういえば、昨日見たテレビでは、脳の中の物質が加齢とともに失われるので、それを補給することが大切と言っていました。
認知症などで気力が失われると、ゴミ屋敷になったりうつ状態になったり、時には自殺したりというケースもあるようです。
特に一人暮らしは、孤独死に追い込まれる危険があります。
自分が諦めたら、全てが終わってしまいますよね。
こういうことは今ではよく紹介されていますが、三畳の当時はあまり聞いたことがありませんでした。